年頭所感

                        愛知県左官業組合連合会 会長 横井良彦


 新年あけましておめでとうございます。

 愛左連組合員の皆 さまにおかれましては令和の時代の最初の新年をご家族の 方々と迎えられたかとお慶び申し上げます。昨年は愛左連の 様々な活動・事業にご理解ご協力頂き誠にありがとうござい ました。

 振り返りますと昨年は各地において繰り返し自然災害が発 生し多くの人命や財産と共にインフラ機能をも失われ、それ による被害は激甚化しました。被害に遭われました方々には 心よりお見舞い申し上げます。これらの多発した自然災害は 私たち建設業が手掛けた成果物が人命を守る機能を持ってい なければならない事を改めて教えるだけでなく、建設業自体 が自然に立ち向かう業種であることを教えてくれたかと思い ます。

 建設業界を取り巻く環境は大きな変革の時期が続いており ます。昨年は「新・担い手3法」が制定され、働き方改革、生産性 の向上と言った近年課題とされていた点について国政レベル から課題克服の働きかけが進められる事となりました。また 不足する建設技能工の絶対数の確保を目的に外国人材の受け 入れ拡大策や事業者評価・技能者評価を目的とした建設キャ リアアップシステムもスタートしました。いずれにしまして も多くの産業で生産力確保が課題となっている現状で次世代 の担い手確保の為の施策が進む一方、働き方改革によって減 少する稼働時間、稼働日数を克服することが私達にも迫られ ています。少ない稼働日数の中で左官職人の所得を減らさな い方策を見つけることは大変難しい事ではありますが、現在 生産性向上策と言われている多くは施工管理システムの改善 を中心としていることから、本当の意味で生産効率を上げな ければ建設技能工の所得は人任せになりかねないと言えま す。

 当連合会においても昨年は大変多忙な1年でありました。 例年通り実施された新年総会、定時総会、日左連総会、正副会 長会等の会議体。技能検定、連合会傘下諸会派の研修会等に加 えて、4回目の開催となった建専連中部主催の「高校生向け合 同体験フェア」。5年ぶりに愛知県に帰ってきた「技能五輪全 国大会」。どの行事も準備段階から時間を要する行事でした。 合同体験フェアにつきましては、毎回愛左連青年部の皆さん と野丁場会の有志にご尽力頂いたお陰で体験ブースの運営は スムーズ且つ明るく実習を進めて頂けました。しかしながら 過去4回において毎回開催場所が変わる事からブース内のレイアウト、電気 給排水設備の確認、搬入設営等 計画立案に 大変な労力が掛かっています。また直前まで高校生の参加人 数が確定しないことから指導員の人員確保には例年同様、気 を揉む日々が続いておりました。今回は小牧のポリテクセン ターでの開催でコンパクトな会場での開催でしたが、各職の ブースとも大変な盛り上がりを見せ、左官ブースも他職に負 けずと和気あいあいの雰囲気の中で体験会を進める事ができ たかと思います。このようなイベントを多く見られている方 によると左官体験は人気ブースとの事ですが、体験会だけで なく入職においても人気職種となりたいものです。開催にご 尽力頂いた方々に心より感謝申し上げます。 また57回となる技能五輪全国大会は中部国際空港に隣接す る竣工間もない愛知県国際展示場で開催されました。こちら につきましては直前まで日左連との連絡調整がうまくいか ず、関係した多くの方々にご心配をお掛けしましたが競技の 進行を無難にサポートできたと安堵しております。運営支援 にご尽力頂いた知多支部の皆さまのご協力に篤く御礼申し上 げます。運営支援においては満足しておりますが、愛知県より 競技に参加してくれた選手2名が共に学生であった事は些か 残念なことでもありました。参加してくれた2名の選手は短 い練習期間にも関わらず充分に力を発揮してくれたかと感謝 しておりますが、本年は再度同じ会場での開催となりますので本職の若手左官工が参加できますよう連合会の方々 と準備していかなければと考えます。同時に参加した選 手12名中4名が女性で優勝した愛媛県の吉村選手は じめ女性全員が敢闘賞以上を受賞した事も注目しなけ ればならいと思います。

 技能五輪閉幕後、暮れも押し迫ってから日左連から発 信されていたしっくいプロジェクトが慌ただしく動き 始めました。8月に青年部を中心にインストラクター講 習が開催され、その後進行が止まっておりましたが、本 年4月のホームページ開設に向けて東海ブロック、およ び県連での講習会開催を急ピッチで準備しております。 時間的にかなり厳しいスケジュールではありますが、 しっくいプロジェクト自体私たち左官事業者のターニ ングポイントとなりうるプロジェクトと理解しており ます。プロジェクトに謳われる年間1億7000万m2 のしっくい施工は日本中の左官工7万人が2400m 2ずつ施工して達成できる数字です。私たち左官事業者 が自らの手で自分たちの価値をアピールできる機会と なるよう全ての組合員で盛り上げなければならないプ ロジェクトです。近年アベノミクスや東京オリンピッ ク・パラリンピック関連工事から建設需要が急速に高ま り、その中で私たちは適正価格に近い受注価格を確保し ていますが、このような需給バランスに頼らない自らの 価値をアピールできる商品・製品を創っていく必要があ ります。ようやく私たちの仕事・業界に目をむけてくれ る次世代の担い手も僅かながら出てまいりました。その 次世代の人々を育成するためにもこのプロジェクトを 成功させなければなりません。

 本年も各支部に於かれましては多くの地域イベント 等においてワークショップでの普及広報の機会でお力 添えを頂く事となります。ご多用の中、貴重なお時間を 割いて頂く事になりますが、一人でも多くビジネスチャ ンスとなりますようご理解ご協力をお願い致します。  先に述べましたように私たちが置かれている環境は 働き方改革による稼働日数の減少、生産性の向上、建設 キャリアアップシステムに対応する財務状況と雇用形 態の透明性、次世代の担い手確保・育成または外国人技 能者の確保による生産力確保、熟練左官工の更なる処遇 改善、左官工による職域拡大といった従来からの課題に 挑みつつ、昨年から連合会内で議論されている会員数の 減少とそれに関連する会費負担の問題など解決すべき 課題は数多くありますが、組合員の皆さまと議論を重ね ながら一つずつ解決策を考えたいと思います。

 新たな年、令和2年が愛知県左官業組合連合会の組合 員全ての皆さまに幸多い年となります事を祈念して年 初の挨拶と致します。


本年
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