人造研ぎ出し

 最近では、人造テラゾと称して、研ぎ出し磨いて、平らな石版状に仕上がった物を、石屋作業の石張工法として現場で張り合わせる工法が主流ですが、外部の洗い場など、左官作業にて塗り付け、研ぎ出す作業も、まだまだ残っています。 また土間の研ぎ出しなどは、なかなか綺麗て゜美しいものです。

 用意する物 − セメント、石灰、色粉、好みの石、化学糊、電動サンダー、ルーター(ペン形のドリルのような電動やすり、こまかい作業に使用)、サンダー用ペーパー(40番から300番までの、目の荒い物から、目の細かい物までの、3種類用意)、サンドペーパー(目の荒い物と、目の細かい物の、2種類)、仕上げ用の浄源寺砥石(サンダー用ワイヤーブラシを使い磨いても代用可、ただし、すりすぎると黒くなるので注意)、必要におおじて、しゅう酸、ワックス、サンダー使用の場合、保護メガネと防塵マスク、その他、鏝など塗り付け用道具



 材料 − 仕上げの色が黒っぽくする場合は、普通セメントを使用
       白っぽくする場合は、白セメントを使用し、好みの色に合わせて色粉を加えます。
       色粉は、色むらが出来ないように、水を加える前に、よくから練りし、混ぜ合わせておきます。
       化学糊は、割れ防止になるために、少量加え、糊の固まりが出来ないように、水を加える前に、よくから練りし、混ぜ合わせておきます。
       石灰は、白っぽい仕上げの場合に使用し、混和材として、ほんの少量加えます。
       使用する石の大きさは、小さめの石の方が、塗り付けやすく、研ぎやすいです。
       一般に人造石塗りに使用する石は、6mmのふるいを全量が通過し2.5mmのふるいを全量の半分が通過するものを使用し、白っぽい仕上げ場合、かんすい石の大きさの違う石を混ぜ合わせて使用する場合が多いようです。
       石とセメントの割合は、石の大きさにもよりますが、小さい石の場合、普通のモルタル位でいいでしょう。
  注意 − 最近では木造外壁用で、石以外すでに混ぜ合わせた材料が出回っていますが、この材料は主に割れ止め、防水を目的としていて、セメントほど固くならない為、研ぎ出しや、洗い出しには使用しない方がいいでしょう。      



 塗り付け方法には下のような方法があります。
 * 方法その1 − 下こすりのモルタルの乾燥期間約1週間後、通常モルタル作業と同じように塗り付ける方法。

 * 方法その2 − タイル下地の要領で、モルタルで下地を作ってから、接着剤塗布乾燥後−ノロ塗り(白っぽい仕上げの場合、白セメントに化学糊を混ぜた物を水で練ったノロ)−ノロが乾かない内に、研ぎ出し材料を下地なりに薄く塗り付ける方法。
    この場合、下地を作るとき角になる部分は、仕上がりと同じ面付きをついて角を落としておきます。

 * 方法その3、床仕上げ密着工法 − その1と同じような作業ですが、モルタル乾燥期間後、もう一度、接着剤を塗り、材料を塗り付ける。この時の仕上げまでの塗り厚は、35mmを標準とする。

 * 方法その4、床仕上げ絶縁工法 − 目地間隔が1m内外で目地割が複雑な形をしていない場合、この工法を行うことがあります。アスファルトルーフィング(アスファルトフェルトよりも分厚い土間用防水紙)を敷き込んでコンクリートと絶縁し、テラゾの変形を拘束しないようにして、収縮、亀裂を防止する工法で、塗り厚は60mm以上を標準とする。



 塗り付けた後は、方法1では、通常のモルタル作業と同じように木鏝をあて、塗り付けの、でこぼこをならし、ふせこんでおきます。
 方法2では、乾き具合を見はからい、1回ふせこみます。
 どちらの方法でも角の部分の面が小さい場合は、研ぎ出す時にサンドペーパーで削り落とすため、突角のままでもいいですが、大きな面の場合は、面付きで面をついておきます。 切り付け部分は、サンドペーパーで表面を、さっと落とす程度で仕上がるように、切り付け鏝をついておきます。
 ふせこみの時、なですぎて、押さえ仕上げのように、表面にノロを浮き上げないようにして下さい。研ぎ出す時、材料の石が出てこず、表面も、でこぼこになってしまいます。


 研ぎ出し作業に入ります。(塗り付けた材料が硬くなってからの作業で、冬場は数日かかることもあります。)

  1. サンダーに目の荒いペーパーを付け、さっと表面をすり落とします。
     サンダーで切り付け部分を研げば、サンダーが必要以上に塗り付けた所を削ってしまうため、切り付けや、面など複雑な形の所はサンドペーパーを使用する方がいいでしょう。
  2. すり落とした所が、ざらざらになっています、表面のほこりをハケではらい、石を加える前の材料を水で練り、そのノロで目つぶし塗りします。
    (目つぶしのノロには、化学糊を混入した材料であれば、最終仕上げ段階前までは、硬化を待たずに、白く乾燥した状態で、3回目の研ぎ作業まで続けて行えます。)
  3. 2回目の研ぎ作業を、中位の荒さのペーパーにて、さっと表面をすり落とし、再度ノロで目つぶし塗りし、3回目の研ぎ作業で、目の細かいペーパーを使い研ぎます。
  4. 完全硬化後、浄源寺砥石で研ぎ上げます。
     (サンダー用ワイヤーブラシを使い磨いても代用可、ただし、すりすぎると黒くなるので注意)、サンダー使用の場合、保護メガネと防塵マスクは、安全のため必ず使用しましょう。
  5. 最終仕上げ作業に、研いだ所を綺麗に掃除し、しゅう酸で磨き上げ、最後にワックスで磨き、仕上げです。


 テラゾ塗りに目地を入れる場合、普通は金属のしんちゅう目地又は、ステンレス目地を使用し、グラインダで切り合わせ、作業日前日以前に、仕上げに合わせて糸を張り、モルタルで止めておきます。

 この場合の、塗り付けは、大きな石場合には3mm位、目地より高めに塗り付け、仕上げで目地一杯にします。
 小さな石の場合、ほんの気持ち程度(1mm)高く塗る程度で十分です。

日本建築学会の左官工事の標準仕様書では、テラゾの目地割りは1.2平方メーター以下とし、最大目地間隔は、2m以下を標準としています。 目地割りは、小さいほど亀裂が生じにくい為です。

   

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