質問受け答え箱

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ブロック面(室内)にヨーロッパ調の質感がほしく、ゲーテハウス(株)より購入 のフランス製 石灰石モルタル材(モノプラルKS)色はベージュ。でかき落とし仕上げを致しまし たが乾燥(1週間以上経過)致しましたが表面がボロボロ剥げ落ち手に粉が着くほど です。 質問事項 表面に何らかの処理をし剥げ落ちるのを固定出来る(例えば接着材等)があればお 教え下さい。 ゲーテハウス(株)に伺いましたところ[施工時のブロックの水打が少なく乾燥接 着過程で水分がブロックに吸収され表面が粉状となった・・・]との解答でしたが 。 表面の質感は大変気に入っており(きれいな仕上げでは無くアブストラクト絵画の 様な質感、厚さは敢て統一せず下地ブロックが見える部分もあり最大厚のところで 約8mm程度です。) この様な質感を何らかの表面処理で固定できればと思うのですが・・・ 素人判断ですが・・・表面に水性接着材を塗る・・・事で表面が固まる・・・等の 方法が可能か否か ・・・御多忙の折り誠に恐縮ですが、お教え頂きたくお願い申し上げます。


 コンクリートブロックは、夏場は特に急乾燥しやすいためと、作業場所が直射日光の当たる所だったのでしょうが、このような条件ではモルタルでも硬化不良をおこす事があります。

 上記の場合の水性接着剤使用はすすめられません、5倍位に薄めた接着剤を塗っても固まりますが、塗った後の壁表情に少し光沢が出てくるおそれがある点と、何よりも接着剤は、一度固まっていても、水で濡れると接着剤の表面がもどって、手で触っても少しですが、べとべとと手や服に付きます。

 珪藻土床仕上げ用の表面強化剤が、良いのではないかと思います。申し訳ありませんが、詳しい事は、お近くの建材店か、珪藻土仕上げ材のメーカーに聞いて下さい。

 外壁など雨水のかかる所の、コンクリートブロックに左官仕上げする場合、必ずモルタルなどで下こすりし、一週間以上乾燥させてから、仕上げにはいります。 この行程をはぶけば、施行後何年か過ぎるとブロックの目地の跡が仕上げ表面に浮き出て来ます。


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 始めてお便りします。ホームページを読ませていただきました。 大変参考になりました。下手の横好きとでも言うのでしょうか、自分の 仕事には直接関係ない分野の技術にも関心があり、良く左官関連 や漆塗りの本を読んだり、時にはわが家で素人仕事をしています。  実は、友人が家を新築するにあたり、今月内壁の塗り壁を私と 施主である友人とで施工することになりました。設計は別の友人が 行いました。外壁全面にオスモのサイディング、そしてオスモの 自然塗料塗り。OMソーラーとは異なりますが、オリジナルの 強制換気装置を設置するなど面白い家なのですが、圧倒的に 予算不足なこともあって施主と設計士がかなりの部分の施工を 自力でおこなっています。今回私が壁塗りをすることになったのも そのような事情からです。  施工内容は、約50uの内部大壁ラスボード下地に薄塗りタイプの 石膏プラスター(吉野石膏ユートップ)に精製してある食品用珪藻土を 10%混入した物を5mm厚で塗り、仕上げは、施主が知り合 いから無料で貰った、フジワラ化学の珪藻土入り仕上げ剤「シルタッチ」(石 灰系) を1.5mm厚で塗るというものです。下塗りのプラスターに珪藻土を入れる のは施主の希望なのですが、幾分の不安が残ります。ただ珪藻土のPHは中性 であることと、メーカーからは珪藻土入り石膏プラスターが発売されているこ とから、付着力の強いタイプのユートップならOKと判断しました。(どう思 われますでしょうか?)私自身の鏝塗り作業の経験は、防水工事での屋上床面 へのウレタン塗り、ビデを見ながらの家での練習、自宅での少量の塗り壁作業 ぐらいです。材料を何とか壁面に持っていける。同じくたどたどしいながらも 何とか塗り広げれる程度のものです。  この施工に関して何点か教えて頂きたい事があります。 1、素人が下塗りの5mm厚を出来るだけ正確に出すにはどうしたら良いで しょうか?養生テープを張りそれをガイドにする/墨を打つ/カタログで見た フクビと言うメーカーの、チリ定木(プラスチック製)と言うものを使う。な どいろいろ考えてみましたが未だ名案が浮かびません。 2、プラスターを塗りつけた後、モルタル塗りのように、定木ずり、木ごて均 しをするのは一般的な方法でしょうか?やらない方が良いでしょうか? 3、入り隅・出隅をきれいに仕上げる方法はあるでしょうか?先日自分の家 に、予行演習も兼ねて少しエコクイーンという珪藻土塗り壁材を塗ってみたの ですが、入り隅・出隅に一番苦労しました。内丸・外丸面付き鏝を使ったので すが、うまくいきませんでした。柄付きで刃渡り120mmのものです。この 様な鏝で良いのでしょうか?設計士からの要望で出隅にはコーナービートを使 う予定です。 4、今回の仕様の為に、ステンレスの鏝、柳刃鏝、などを購入する予定なので すが、どのような鏝が良いでしょうか?仕上げの「シルタッチ」は藁すさ入 り、塗り放し仕上げなので、メーカーは硬い鏝、しならない鏝を使うように指 示しています。  たくさんの質問で申し訳ありません。5日後に施工開始を控え、インター ネットでいろいろ検索をしていた時、TAKENOBUさんのページに出会い 狂喜(?)しました。またとかく閉鎖的になりがちな職人の世界でこのような ホームページを開設されていることに深く共感しました。宜しくお願い致しま す。


                     質問の順番に書いておきます。 
 その前に、この作業で一番気になる点がありま す、それは、ラスボード下地の継ぎとに、かんれいしゃなどのネットを張らない点で す。    通常砂を混ぜた石膏を塗る場合塗り厚があるため、一回塗りでも割れはあまり出来 ませんが、この作業の場合、仕上げに割れが出来るおそれが高い点です。

 珪藻土を混入したユートップは悪くないと思われます。
 初めに、ラスボードの継ぎとにネット状のテープを張り、この材料でラスボードの壁全体を下塗りし、(又は乾かない内に、ボード継ぎとに、ネットを塗り込み)、一週間程度、乾かしてから仕 上げ作業に入ります、これは、ボード継ぎ目に割れが発生するのを少しでも少なくす る為と、ラスボードの凸凹(でこぼこ)の跡を仕上げ表面に出さない為です。

1. 薄塗りの場合、角鏝を使い塗り付ければ、素人でも普通の鏝で塗るよりずっと楽に、均 等に塗り付けられます。 九州地方では、じゅらくや綿壁など上塗りの塗り付けに、しならない硬い角鏝を使うようです。 土や石膏材料の作業では、サビの出ないステンレス製の鏝がいいでしょう。
   石膏系の材料を使用する場合、作業施行前に、柱に木用ワックスを塗り付けておい た方が、養生テープが取れやすく、ちり掃除も楽です。
   木造中塗りの墨打ちに使用する墨は、新しい墨つぼに、べにがらを入れた物を 使用します。 普通の、黒や赤の墨汁を使えば、もしも、柱回りに墨汁が付いた場 合、洗っても落ちない為、使用は勧められません。 大工さんの使っている、けびき に鉛筆を付けたような道具がいいようです。塗り付けた仕上げで鉛筆の跡が消える位 に塗り付けます。 
    この鉛筆の跡が、上塗りを塗って少し隠れる位の所に紙テープを張り、仕上げた後テープを取る方法もあります。 この作業ではテープを取るときは、ゆっくりめくり、もしも木部分がいっしょにめくれるようであれば、その部分をカッターで切り落としながらめくります。
   ちり定木とか、角のコーナービートは、作業が楽に早く仕上げが出来るよう開発された材料ですが、プラスチックと塗り付け材料の 間に割れがはいりやすい点と、クロス下地やペンキ下地で は、作業しやすいのですが、上塗り下地に使用すれば、その部分だけが乾きが悪くなり、仕上げがうまく行かない難点があります。
   これを解消するには、下塗り時に、 コーナー部分も一緒に下塗り材を薄く塗り付けておくことです。

2. 木造建築の中塗り作業では、定木ずりとか、木鏝とかは使わないのが一般です が、上塗りでは木鏝などは使いません。 ただこれは、なれていないと難しいので、薄塗りの場合、下塗り塗り付け後、木鏝で柱を傷つけないよう、塗り付け部分の高い所を削り落とす程度がいいでしょう。
   上塗りは、角鏝で二回塗り(一回に下地が隠れる位に綺麗に塗ってから少 し乾いてから、二回目を塗る)したあと、半乾きの時、鏝の先が柔らかい鏝で、一方 向に左から右(右から左でも可)に、上から下へなで下ろし仕上げれば綺麗に仕上が ります。一方向にと言うのは、右に向けてなでれば材料が右を向き、左に向けてなでれば材料が左を向むくため、仕上がりに、むら出るため多少見苦しくなります。
   二回塗りすれば、誰でも仕上げやすくなります。

3. 切り付け部分が綺麗に行かないのは、一回塗りで仕上げようとするからです、 二回塗り作業で試して見て下さい、うまく行くはずです。
  

4. しならない鏝を使って下さい、との事ですが、これは柔らかい鏝では、塗り付けが均等になりにくいからです。
   鏝は、塗り付けに、しなりの少ない硬めで270mmから300mmのステンレス製角鏝を使用し、塗り付けた後 になで仕上げる鏝先の柔らかいステンレス鏝又は、ビニール鏝が良いと思われます。角鏝の角のとがった部分で柱を傷つけないよう注意が必要です。 (一般左官職人は、塗り付け鏝のかなり使い込んでちびた鏝を上塗りに使用する場合が多いようですが、地方や個人差によりまちまちです。)
   角鏝の使用方法は、少し多めに材料を塗り上げて付ける作業を三回位繰り返し、少し鏝を立て塗り付けた部分の余分な材料を取っていくようにすればいいでしょう。一回目の塗り付け時に石が転がったような部分は決して出してはいけません。二回目を塗っても同じように転がった跡が出ます。どうしても転がり部分がでるようであれば、一回目の塗り付けた後、鏝を寝かせ壁にペッタンと付けて、その部分をなでておきます。
   漆喰など石灰系は、硬い鏝で仕上げるのが普通ですが、少し柔らかいうちか ら、何度もなでることで素人でも綺麗に仕上がります。

    尚、この質問での塗り放し仕上げでは、塗った材料が乾き過ぎてから、鏝でなでては絶対にいけません。乾いてからなでた部分の表面が、押さえすぎになってしまい跡が残ります。
    左官作業の基本は決して乾かしすぎない事です。それがちょうど昼時間になっ ても、塗った壁から目を離さない事です。乾きすぎては誰が作業しても綺麗には仕上 がりません。


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  始めまして、風呂のタイル上部の壁や、家屋の外壁を素人修理をしたく ご指導願います。どちらもモルタル塗りでツヤはありまあせん。 セメントを塗った後掻き落としをしてあると思うのですがこの様な 仕上げ方法はあるのですか?20年前の新築ですが、あの地震でひび割れ や、タイルにヒビがあるのを素人修理したく、セメントのままや、吹き 付け塗装ではないので方法をご指導頂きたくお願いします。 左官、壁の塗り方のHpはほとんどありません。 道具、壁材料等指導願えれば幸いです。


  風呂場の割れ目の補修は、ホームセンターなどで市販されている、浴槽用放水コー キング材と紙テープを購入し、施行面を乾燥後、割れ目の両側を紙テープをはり、割れ目にコーキング 材を塗り付けた後、塗り付けたところをスプーンなど表面のつるつるした物でなでます。なでた後、両側の テープを剥がします。コーキングが固まるまでの数日間は施行面に物が当たらないようします。
 浴槽上の掻き落とし部分は、家の近くにある建材店で、セメント系薄塗り材料の20番を袋 入り20kgで約1500円を2袋と、1リットルほど入った液体セメント用接着剤を購 入し、浴槽や洗い場などを、ビニールなどで汚れないように養生し、接着剤をバケツ の中で4倍から5倍に薄め、補修する壁にハケで塗り付け、薄塗り材料をバケツの中 に入れ、水と少量の接着剤を加え、クリーム状に溶かします。それを角鏝を使い壁に二回塗りで塗り付ければ、 乾燥後、ペンキを塗ることも、タイルを貼ることも出来ます。 
 外壁面の割れは、割れ目に、薄めた接着剤を塗り付け乾燥後、ホームセンターなど で市販されている外壁用防水コーキング剤を購入し、これを乾燥させた壁の割れ目に沿って塗り 付け、小さなハケに水を付けながら塗り付けたところをなでます。この時使用のハケ は、使い捨て程度のハケを使って下さい。 約一日乾燥後、壁と同じような色のペン キなどでごまかして下さい。   掻き落としは、今ではセメントや石灰系とは別に、珪藻土系に移りつつありますが、左官 作業の仕上げ方法の一種です。 ただほこりなどゴミがたまりやすい難点もありま す。


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一般的な漆喰壁(外壁)を作る際には ・荒壁塗り ・中塗り ・上塗り という工程があるそうなのですが、これらの工程はそれぞれどのくらいの時間 が要するものなのでしょうか。それぞれの段階でかなりの養生期間を要するも のなのでしょうか。


 荒壁塗り − 荒壁土は塗った塗り厚にもよりますが、一般に壁が白く乾燥してい ればいいのですが、季節は秋から冬の凍結しない程度の乾燥した間が一番いいようで す。 春から夏にかけて湿気の多い時期に、荒壁など乾きにくい材料を塗れば、カビ が発生するおそれがあります。  本来荒壁は、山土にわらを加え、わらがくさって土に繊維分がとけ込んでは、また わらを加え、くさらした材料を使用したようですが、最近では工期短縮の為、練って すぐ使用する場合が多いようです。乾燥した季節にひかげで、ゆっくり乾かした壁は かたく丈夫で、百年以上もつようです。  
 中塗りも、荒壁と同じように白く乾けば、上塗りをかけられます。中塗りが乾燥しない内に上塗りをかければ、上塗りの剥離やカビの発生のおそれがあります。
 上塗りの養生期間は、仕上げ方法にもよりますが、一日、二日くらいで、手で壁を さわり、湿気が感じられなければ、だいじょうぶです。

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 はじめまして。部屋のリホームをしている最中なのですが いくつかお聞きしたいことがあります。まず当方のリホー ムですが隣り合った2つの部屋をつなぎ、1つの部屋にし たため壁と壁に大きな隙間が生じ、何でその隙間を埋め ようかと考えているところです。現在の壁はスクレパーを 使い表面の土はすべて落としてあります。下地には石膏 ボードにコンクリートが塗ってある状態です。30年前ぐら いに部屋を改装したときのものなのですが、コンクリートも かなり荒く塗ってあり、波が打っているような有様でとにかく きれいな下地をつくるためのテクニックがあれば教えてい ただきたいのです。  現在自分で考えているのは、コンクリートモルタルで大きな 隙間を埋め、シコク(社)の健康プラスターをあつく塗り、同 (社)のケイソウモダンコートで仕上げようかと思います。  コンクリートモルタルにて隙間をうめる場合、(3,4cmぐら いの幅と深さがあります。)の注意点があれば教えていただ けないでしょうか。またなにか適当な方法はありますか。  とにかく以前の下地が大きく波打っており、また隙間も大き いためどうしようかと悩んでいます。


1. まず、床を汚さないように養生をし、壁の回りの木部分を汚さないよう、紙 テープ又は粘着力の少ないテープで、壁の中塗り下地に合わせて張り付けます。 中 塗りが終了した後、テープはいったん剥がし、仕上げ前に再度仕上げに合わせて張り 付けます。 テープを剥がす時に木部がテープに引っ付いて、めくれてくるようであれば、大きくめくれないうちに、カッターナイフなどで切り落としながらめくって下さい。
2. 部屋と部屋のすき間部分が、柱など木が出ているようであれば、小さめの釘(サビ防止の為、出来ればステンレス釘を使用して下さい)を 何本か打ち、塗った材料の離脱防止をしてから、割れ止め防止の為にも、薄めたモル タル用接着剤を塗り、釘を塗りかぶせるように、壁いっぱいまでモルタル又は石膏材で埋めま す。  壁に鉄サビが出ている箇所があれば、ニスでその部分を塗り隠して下さい。
3. 壁全体に約5倍に薄めた接着剤を塗り付け、出来れば一日乾かしてから次の作 業に入ります。
4. この壁の場合は、下地が下こすり、したままの状態なので、通常の石膏プラス ターと砂を1対2.5くらいの割で化学糊を少し混ぜ練り合わせた材料で中塗りをす ればいいように思われます。
   上記の健康プラスターの袋裏の使用書き又はメーカーのパンフレットに、10mm位厚塗り出来るように書いてあれば、この材料でかまいません。    
5. 中塗りは、2回塗りで、1回目に薄く塗り付け、出来れば壁の継ぎと部分に、 ネットを埋め込めば、割れ防止になるでしょう。    少し水気が引いたところで、2回目に中塗り仕上げまで塗り付けますが、塗り なれていないとこの作業が、かなり難しいため、一つの方法を書いておきます。    べたべたと材料を中塗り仕上がりより少し多めに塗り付け、1メートル位の まっすぐな、さん木を縦に持ち、上下に動かしながら、横にすらせて壁の材料を落と してまっすぐにし、もう一度今度はさん木を横に持ち、左右に動かしながら、壁の下 から上へとすらし、壁全体が大体まっすぐになった所で、壁にハケで水をかけなが ら、木鏝を使い、縦横に大きく動かし、壁全体をさらにまっすぐならしてから、金鏝 で上下又は左右に大きくなで、水気が引いたところで、もう一度金鏝で、壁の鏝波などの、でこぼこがなくなるように壁全体をなでます。  

石膏はメーカーにもよりますが、乾きが早いので油断しないで下さい。



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