ペンキ下地仕上げ

 コンクリートの下こすりには、接着材を少量混ぜた、多少ねばめで(真夏、日当たりのいい所は、さくめ)、水分の多い純モルタル(セメントと砂だけで練ったモルタル)をこすり、くしめを横にかきます。(木造の場合、割れ止めと水回りを考え、縦にくしをかく場合もあります)。
 又は最近よく使用される軽量材とセメント、少量の接着材を混ぜ合わせた材料でこすります。この軽量材とセメントの調合割は、軽量材の袋裏に書いている通りにしますセメントを多くして練れば、塗りやすいですが、仕上げのモルタルが、下こすりの材料に引っ付かない(浮く)おそれがあります。

 こすりから1週間位乾かします。

 仕上げのモルタル塗りしろは、10mmから15mmです。それ以上塗りしろがある場合、中こすりをします。中こすりは、くれぐれもモルタルを塗りすぎないよう、きれいに塗りつけ(塗り付け後、定木で高い所を削り落としてもいいです。)塗ったモルタルが少し乾いてから、くしをかきます。


 夏場など仕上げのモルタルが乾くようならば、水を壁にかけますが、水の代わりに、かなり薄めた接着材を使う位の気配りも大切です。


 仕上げのモルタルを2回塗りで仕上げます、この時、1回目をこすり少し乾かしてから、気泡などできた所を押さえつぶしてから、2回目を塗りつけます。1回目が半乾きしない内に2回目を塗れば、1回塗りと同じように乾いてしまい、気泡も沢山出てしまいます。

 塗り付けが終われば、モルタルがまだ、やわらかい内に定木(質の高い仕事を望むのであれば、アルミで作った定盤を使用)で、あらかた高い所を削り、低い所にモルタルをつけます。 そして、モルタルが少し固まった所で、もう一度定木で壁をすります。

 定木す゛りは、壁の場合、1番目に縦の切り付け、天井ぎわと土間ぎわの左右をまっすぐにし、定木を縦にし、壁をすってから、定木を横にし、下から上へすり上げるのが基本です。 この時、モルタルの削り取りは、少しずつ少しずつ定木を横にすらしながら削り取ります。 柱の場合、切り付けー横ー縦の順番です。

 壁の真ん中や切り付け上下の間のスチロールの当たりは、微妙に高かったり、低かったりするので定木ずりなかばで取り除き、真っ直ぐになっているか確かめ、当たりはすべて取り除き、モルタルで埋めます。

 木鏝を使い壁全体を、よくもみ壁の低い所には、モルタルを付け、でこぼこをなくし、最後に壁全体を下から上へ木鏝で綺麗になで上げ、塗り付け鏝を使い、綺麗に、なで上げ、ふせこみます。この時点て゛は決して鏝を立てて、モルタル表面をツルッとしてはいけません。

 仕上げ方法は、じか押さえ、ノロがけ、翌日以後にシゴキ仕上げ、があります。
中でも、一番ポピュラーで、最も難しいのが、じか押さえです。


じか押さえ

 前行程での、ふせこみ後、少し乾いた頃、もう一度、塗り付け鏝を使い壁全体をふせこみ、その後また少し乾いた頃、油焼きの角鏝を使い壁全体をふせこみます、こうした作業により、壁表面に目の細かいノロが浮き上がってきます、この時点で角鏝を上から下へ向け、石を立てないように、そっとなで下ろし、鏝幅をそろえて作業を繰り返します。

 普通、天井から床までは、背が届かないため、頭位の高さで上下くぎります。 この作業は上半分を仕上げたあと、上半分が乾ききらないうちに、高さをそろえて水平に水糸を張り、はじきます。これで糸のあとが壁に残ります。その跡を消さないように下半分をふせこみ、角鏝を糸の跡に合わせて糸跡から床に向けて、まっすぐなで下ろします。

 この最後になで下ろす時使う角鏝は、ビニール製の角鏝、又は鏝先の柔らかいシゴキ用角鏝を使えば、なお綺麗な仕上がりになります。

 最後に壁表面がカラカラにかわいた状態なった壁全体をなでて仕上がりです。(角鏝はペタンと壁に付けたまま全体をなでます)

 もしも乾きすぎて角鏝なでると壁表面がガサガサになるようであれば、押さえ鏝を壁にペタンと付けたまま鏝の先にも指を置き押さえ込みなでて仕上げます。

 なんだこんな事かと思われるでしょうが、この単純作業を修得する事がペンキ下地の極意です。

 もし3回目のふせこみの時、乾いてしまった場合は、壁にハケで水をかけてふせこみ、浮き出たノロの水気が少し乾いた頃、仕上げの鏝をかけます。 2回目のふせこみまでは、決して壁を乾かせないように、壁に語りかけながら作業を、こなしてほしいものです。

                       ノロがけ

 ノロがけのノロにも色々な材料があり、どの材料を使用するかは、現場により異なりますが、一般的な作業をいくつか、書きます。
 前行程での、1回目のふせこみだけでは、鏝と鏝の継ぎと部分などが、必ず、でこぼこになっています、それと気泡部分(ブツ)が出ている事があります、このでこぼこと、ブツはノロをかける前にできるだけ処理します
 この処理は、じか押さえの2回目のふせこみほど、ていねいに、しなくてもいいですが、さっと、でこぼこ部分とブツをなくす程度に、ふせこみます。

 ノロの材料は、水に普通セメントと収縮材料のイビセメント又はテーリングなどの混和材をセメント6、混和材4溶かしペースト状になった所へ珪砂8号少々混ぜた材料を作ります。 イビセメントの代わりに浅黄土の使用は、すすめられません。又イビセメントを普通セメントより、多く使用すれば、塗りやすいですが、仕上げのペンキが、はげてくるおそれがあるため、すすめられません。 又壁が少し乾きすぎた場合は接着剤を材料に少量加えます、さらに乾きすぎ固くなつている場合は必ず化学のりを加えた材料を使用して下さい、仕上がってから塗ったノロが剥げ落ちる場合があります。

 塗り方は、2回目のふせこみ後下地がまだやわらかいうちにモルタルに力を入れないよう3回位、角鏝で塗り付け、塗った材料をシゴキ取っては、なしめにする繰り返しで、塗り付けます。ノロは決して厚く塗ってはいけません。後からノロ部分がはげてくるおそれがあります。
 仕上げは、よく乾いた頃、角鏝を45度位上に傾け、壁に向け力を入れて、下から上へ鏝を滑らすように押さえます。押さえる時、鏝を立てすぎて石を立てないよう注意しましよう。
 


 収縮材に浅黄土しか使わない、イビセメントって何だ?そんなのは使った事は1度もないという人もいるでしよう。そうした人々には、普通セメントに化学のりを半袋から1袋に珪砂8号少々を加えた材料がおすすめです。
 この材料は2回目のふせこみ後、かなり下地が乾いてから角鏝を使い、2回塗りで仕上げます。これは、シゴキ仕上げになるのでしょうか? 翌日でも同じ方法で仕上がります。翌日以降の場合、化学のりを多めにし、接着剤を少量加えた材料を使用します。
 仕上げは、1回目の塗り付けの時、を立てて塗り付けず、できるだけ鏝を寝かせて石を立てないように塗り付け、半乾きの内に2回目を塗り付け、よく乾いてから角鏝でなでます。
 ペンキ下地に問題はないのですが、この方法は、じか押さえやイビセメントを使った仕上げの様に、仕上げの色は綺麗にはなりません。


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