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日本の気候風土に
合った特質を持つ日本
家屋の壁を、“こて”
一つで築き上げるのが
「左官技能士」の
仕事です。
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この左官現場の指揮を
とる、この道30余年の
浅原雄三さんは、
「京都の壁守りを
したい」と、京都を
舞台に、数多くの
文化財の修復に
取り組んでいます。
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左官技能士は、労働省認定
の国家資格で、実技試験
では「仕上がりの美しさ」
や「寸法の正確さ」、
「材料の調整」から
「“こて”の操作方法」
まで採点されます。しかし、
実際の仕事は、技能試験の
レベルをはるかに超える
技術が求められます。 |
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長年使い込んだ“こて”
は、職人にとって
何にも代え難い一生の
宝です。「ここまで道具を
使い込んでいって初めて、
自分が何かわかって
くるんですわ」と語る
浅原さんは、師匠から
もらった“こて”を
大切に使い続けています。 |
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浅原さんのもとで修業を
している森田一弥さんは、
大学院で建築学を修めた後、
「図面を引いてるだけでは
建物をわかったことには
ならない」と思い、この
世界に飛び込みましたが、
左官の世界は想像以上の
厳しさでした。 |
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「水引き」(乾き具合)
が重要な左官の仕事は、
太陽や雲など、自然との
対話が必要です。
陽の当たり方一つで
仕上げ方が違います。
昼の内に作業が終わる
ように、材料を調合
します。 |
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こうして、美しく仕上げら
れた壁の真価が問われる
のは、10年、20年先です。
一つ一つの確かな作業が
何十年もの寿命の差となっ
て表れるからです。 |
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“こて”一つで壁を築く
左官の技、そこには
自然を感じ取る、職人の
細やかさが支えて
いるのです。
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